ドクターからのメッセージ

監修:川崎医科大学小児科学 中野貴司先生

ワクチンを接種されるにあたって、お母さん・お父さんへのメッセージ

予防接種については、あまり情報に触れる機会もないまま、気が付いたら0歳で受けるワクチンが始まって、とにかく接種をすべて終わらせることに精一杯・・・というのが正直なところという保護者の方が多いのではと思います。そんな中、予防接種に対する疑問点や、不安に思うこと、とまどいを感じることもあるのではないでしょうか。そこで、ここでは、なぜ私たちはワクチンを接種するのか、その重要性や安全性などについて解説しています。よくあるご質問のQ&A集も掲載しましたので、そちらもあわせてご覧いただき、小児科医が、日ごろから保護者の方に予防接種をお勧めしている理由がわかっていただければ嬉しく思います。

ワクチンの重要性

■重い後遺症を残したり死に至ったりする怖い病気から身を守るために、私たちには、その病気にかかったら「治療する」という手段があります。しかし、なかには診断が難しい、有効な治療法がない、もしくは限られている恐ろしい病気もあり、かかってからどうやって治すかではなく、その病気にかからないよう「予防する」という手段も、人間にとってはとても重要なのです。だからこそ、自らの命と健康を守るために、人類はたくさんのワクチンを開発し、広く利用してきました。

 

■江戸時代には、麻疹(はしか)は「いのちさだめ」の病気と言われていました。その頃はまだワクチンという予防手段がなかったわけですから、すべての者がこの病気にかかり、麻疹には治療法がなく、多くの子どもが亡くなったのです。その後、麻疹ワクチンが開発され普及すると、患者さんの数はぐんと減りました。その他のワクチンがある病気についても同じことが言えます。

ワクチンの効果と安全性を天秤にかけて…

■ワクチンを接種した際には、注射したところが赤くなったり、腫れたり、熱が出たり、またまれですがアナフィラキシー(ワクチンが体質に合わずに、アレルギー反応などにより呼吸困難やショックなどの強い症状がでること)など重い症状が出ることがあります。すなわち、予防接種後に副反応が起きるリスクは、もちろんゼロではありません。

 

■一方で、予防接種をしなければ、重い病気にかかってしまうというリスクが当然存在します。予防接種をして副反応が起きるリスクと、予防接種をしないで重い病気にかかってしまうリスク、そのどちらを回避するべきか、それを考えることがワクチンの大切さに気づく大きなきっかけになると思います。人類が自分たちの健康を守るために開発したワクチンです。その予防する対象の病気は、重いものが多いのです。このようにワクチンの効果と安全性を天秤にかけて、ワクチンで病気を予防することの大切さを理解してもらえると嬉しいです。

かかりつけ医で予防接種を

■かかりつけの小児科医を持つということは、お子さんの健康状態を、定期的かつ継続して把握してくれる存在を持つ、ということです。「あのときは、こうだった」「このときは、こうだった」と、医師がお子さんの症状や反応を蓄積していくことで、より的確な医学的判断が行えるようになります。かかりつけ医を持って何でも相談できる関係を築くことは、保護者にとって不安のない予防接種スケジュールを組むうえでも、とても重要です。どんなワクチンを、いつ、どのように接種すべきか、先生としっかり相談してください。


よくあるご質問のQ&A集

ワクチンについて

【Q1】抵抗力のない小さな赤ちゃんにワクチンを接種するのは危険なのでは?
お母さんから引き継いだ免疫力はあるものの、赤ちゃんの免疫力は弱いため、ウイルスや菌が簡単に免疫システムを通り抜け、年齢が低いほど重症になりやすい傾向があります。従って、赤ちゃんにとってあまり負担をかけずに免疫をつけることができるワクチンを活用することは、赤ちゃんを守る上でとても有効な手段であり、逆に大きな危険を遠ざけているとも言えるのです。
【Q2】持病(基礎疾患)がある場合でも、予防接種して大丈夫?
基礎疾患がある体の弱い子どもたちこそ、かかると重症化しやすい病気から守るために、ワクチン接種が大切とも考えられています。基礎疾患の状態によっては予防接種ができない場合もありますが、日頃の健康状態をよく把握しているかかりつけの先生とじゅうぶん相談したうえで、接種を検討してください。

小児用肺炎球菌ワクチン・ヒブワクチンの接種について

【Q3】なぜ4月から接種が再開されたのですか?
3月に接種後の死亡報告例があったことから、小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンは一時的に接種が見合わされていました。その後、厚生労働省の委員会が様々なデータを検証した上で、専門家を集めた委員会を開き、「接種の安全性に懸念はない」と見解を示したため接種が再開されました。接種の一時中止から約1か月で接種再開となりましたが、小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンによって細菌性髄膜炎を予防することが、改めて重要であるという認識が示されたと言えると思います。
【Q4】1回目の接種から時間があいてしまいましたが大丈夫でしょうか?
接種の間隔が予定より多少あいたとしても、ワクチンの接種を受けた後の免疫への効果には問題がないとされています。病気から身体を守る免疫をつけるためには、間隔が多少長くあいたとしても、なるべく早く接種を受けましょう。
【Q5】費用助成があると聞いたのですが、どうすれば受けられますか?
子宮頸がんワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンは、2010年末より費用助成制度が設けられました。お住まいの自治体により助成の金額や方法が異なりますので、各自治体窓口までお問い合わせください。