肺炎球菌について 肺炎球菌について Q&A

監修: 慶應義塾大学医学部感染症学教室 教授 岩田敏先生

肺炎球菌ってどんな菌?

ふだん小児科に来る子どもの病気の原因として、もっとも多い菌のひとつです。

肺炎球菌は名前のとおり、大人では肺炎になることが多いのですが、乳幼児の場合、肺炎のほかにも中耳炎や、菌が脳を包む膜にまで入りこむ細菌性髄膜炎というこわい病気になることがあります。また、肺炎球菌はまわりにとてもかたい殻があるので、からだを細菌から守ろうとはたらく白血球によってやっつけることがむずかしい、毒性の強い菌です。

子どもはふつう、肺炎球菌をもっていないの?

肺炎球菌は子どもの多くがノドや鼻の奥にもっている、とても身近な菌です。

生まれたばかりの赤ちゃんは肺炎球菌をもっていませんが、ほかの赤ちゃんと遊んだり、保育所に通うようになったりすると、いつのまにか菌をもらってしまう可能性が高くなります。菌をもっていてもかならず悪さをするわけではありませんが、月齢の低い子どもほど肺炎球菌への抵抗力が弱いため、肺炎球菌の病気にかかりやすいといわれています。

肺炎球菌がこわいのはナゼ?

ときに命にかかわる病気や、後遺症が残る病気にかかることがあるのでこわがられています。

肺炎球菌はいつもは子どものノドや鼻の奥にいておとなしくしていますが、体力や抵抗力が落ちたりといった何かのきっかけでからだの中に入りこむと、中耳炎や肺炎、さらにこわい菌血症や細菌性髄膜炎になることがあります。菌血症とは、菌が血液の中に入りこんだ状態で、細菌性髄膜炎のひとつ前の段階にあたります。

子どもが肺炎球菌をもっているかどうか調べることはできる?

ふつうは、何かの病気になったときに検査をします。

肺炎球菌をもっているかどうかは、子どものノドや鼻の奥の菌を調べればわかりますが、ふつう、健康なときに検査することはありません。気管支炎や肺炎、中耳炎など、肺炎球菌やそのほかの細菌感染が考えられる病気にかかったときや、菌血症や細菌性髄膜炎のような症状があったときに、医師の判断で血液検査などの検査を行います。

肺炎球菌は子どもが当たりまえにもっている菌なのに、何がきっかけで病気になるの?

病気になるきっかけはさまざま。いつ、だれにおきてもおかしくありません。

肺炎球菌による中耳炎や肺炎は、カゼなどをきっかけになることが多いのですが、菌血症や細菌性髄膜炎は必ずしも何かのきっかけがあってなるというわけではなく、菌をもっていればいつ、だれが病気になってもおかしくないといえます。特に体力や抵抗力が落ちたときは注意が必要です。

耐性菌って何ですか? 耐性菌による病気にかかってしまうとなおらないの?

耐性菌とは、薬が効きづらくなった菌のことです。

耐性菌とは、菌をやっつけるための薬[抗菌薬]が効きにくくなっている菌のことです。これまで、日本では子どもの発熱時などに抗菌薬を多く使ってきたことから、薬が効きづらくなった肺炎球菌が増えています。耐性菌に対しては薬の量を増やしたり、新しい薬を使ったりすることで治療できますが、病気にかかってから治療するよりは、かからないことが何より大切です。そのためにも、ワクチンで予防をしましょう。

子どもの肺炎球菌ワクチンは日本だけのもの?

子どもの肺炎球菌ワクチンはすでに世界100カ国以上で取り入れられています。

子どもの肺炎球菌ワクチンはすでに世界100カ国以上で取り入れられ、世界で何千万人もの子どもに接種されています。日本には2010年から導入され、2013年4月には5歳未満を対象に定期接種になりました。2013年11月からは日本でも13価の新しい小児用肺炎球菌ワクチンが定期接種として導入されます。13価とは、ワクチンに含まれている肺炎球菌の種類[型]が13個あることを意味し、従来の7価のワクチンに比べて、6つ肺炎球菌の種類が増えたものです。なお、子どもの肺炎球菌ワクチンについては、WHO[世界保健機関]がすべての国での定期接種をすすめています。

子どもが肺炎球菌をもっていても、ワクチンを打てば病気は防げるの?

ワクチンが対応している肺炎球菌による病気は、予防できます。

肺炎球菌にはいくつかの種類があり、すべての種類についてワクチンが対応しているわけではありませんが、アメリカでは、ワクチンが対応している種類の肺炎球菌の病気は90%以上減っています。さいわい、ワクチンが対応していない種類の肺炎球菌の病気は多くないといわれているので、ワクチンによる予防がとても重要になってきます。

肺炎球菌ワクチンを受ければ、細菌性髄膜炎を防げるの?

肺炎球菌ワクチンだけでは、細菌性髄膜炎のすべてを防ぐことはできません。

子どもの細菌性髄膜炎のおもな原因には、ヒブ[インフルエンザ菌b型:Hib]と肺炎球菌があります。それぞれヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンで予防できますが、これらのワクチンが導入されるまでは、この2つの菌が細菌性髄膜炎の原因の約80%を占めていました。細菌性髄膜炎の大部分を予防するためには、この2つのワクチンを両方とも接種することが大事です。ただしワクチンに含まれない種類[型]の肺炎球菌による細菌性髄膜炎は予防することができません。また、生まれて間もない赤ちゃんの場合、大腸菌やGBS[B群溶血性連鎖球菌]が原因で細菌性髄膜炎になることがあり、残念ながらこれらもワクチンでは防げません。

肺炎球菌による菌血症、細菌性髄膜炎ってどんな病気?

どちらもはじめはカゼと区別しづらく、重症化するとこわい病気です。

菌血症は、いつもは子どものノドや鼻の奥にいる肺炎球菌が、何かのきっかけで血液の中に入り込み、とつぜん高熱が出る病気です。そして、菌血症がさらにすすむと、まれに菌が脳を包む膜にまでいき、細菌性髄膜炎になります。肺炎球菌による細菌性髄膜炎はときに命にかかわったり、難聴やマヒなどの後遺症が残る場合もあるこわい病気です。どちらもはじめは発熱以外にほとんど症状がなく、カゼと区別がつかないため、早めの発見がむずかしいといわれています。

肺炎球菌が原因の発熱や中耳炎などについて、カゼやほかの原因のものと見分ける方法はあるの?

おうちで見分けるのはなかなかむずかしいですが、日ごろから子どもの様子をよく観察しましょう。

肺炎球菌が原因の場合、熱が急に上がる、短時間で具合が悪くなるなど進行が早く、症状も強いことが多いのですが、おうちで見分けるのはむずかしいでしょう。ただ、熱があっても機嫌は悪くなかったり、食べたり飲んだりできているようであれば、それほどあわてなくてもよいでしょう。子どもの変化を敏感に感じとれるのはやはりお母さん・お父さんです。ふだんから子どもの様子をよく観察してあげてください。

肺炎球菌の病気にかかっている子どもから、同じ病気がうつってしまうことはないの?

病気そのものがうつるというより、肺炎球菌をもらうことがあります。

肺炎や菌血症など、肺炎球菌が原因の病気そのものがだれかにうつるということはありません。病気にかかっている子どもと遊んだりすることで、肺炎球菌をもらうことはあっても、だからといって同じ病気になるとはかぎりません。

肺炎球菌は子どもの中耳炎にも関係ある?

肺炎球菌は、子どもの中耳炎の原因のひとつです。

いつもは子どものノドや鼻の奥にいておとなしくしている肺炎球菌が、何かのきっかけで耳の奥に入って悪さをすると、中耳炎になります。日本では薬が効きづらい肺炎球菌が増えているので、中耳炎をくり返しおこしたり、重症化してなおりにくくなることもあります。

インフルエンザのように、肺炎球菌による病気がはやる季節はあるの?

肺炎球菌による病気は、きまった季節にはやるものではありません。

肺炎球菌による病気のうち、たとえばインフルエンザなどがきっかけでおこることの多い肺炎などは、インフルエンザのはやる季節に多いといわれていますが、菌血症や細菌性髄膜炎は決まった季節にはやるものではありません。そのため、この時期さえ気をつけていればよいというものではないので、年間を通じて注意が必要です。そこで、ワクチンで予防することが第一歩となります。

保育所に子どもをあずけるつもりだけど、何か特別な対策は必要?

ワクチンで予防できる病気があります。できれば保育所に入る前にワクチンを受けて、病気から子どもを守りましょう。

保育所などの集団生活の場ではいろんな子どもたちと共同生活をすることになるので、肺炎球菌にかぎらず、はしかや水ぼうそうなどワクチンで予防できる病気については、保育所に入る前にワクチンを受けておくとよいでしょう。ワクチンは病気から自分の子どもを守るだけでなく、ほかの子どもたちに病気が広まるのを防ぐ役割も果たします。ワクチンによっては何度か受けなくてはならないものもありますが、一度でも受けておくとそれだけ免疫が強くなるので、受けられる時期がきたら早めに受けておくとよいでしょう。

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